Nature ハイライト
物性物理学:ニッケル酸化物超伝導体
Nature 572, 7771
電気抵抗がゼロになる物質はさまざまな応用で使われているが、従来型の超伝導体で達成できる温度より高い温度で超伝導を実現すれば、より多くの可能性が開かれると考えられる。高温超伝導体は、1980年代に銅酸化物で初めて発見されたが、この超伝導の正確な起源はまだ分かっていない。ニッケル酸化物系化合物などの、関連した結晶構造や電子構造を持つ他の物質は、根底にある物理の解明や、より高温で超伝導になる物質の設計に役立つ可能性がある。しかし、ニッケル酸化物ではこれまで超伝導は観測されていない。今回D Liたちは、無限層銅酸化物に似た無限層ニッケル酸化物の超伝導を実証している。これは、一連の還元層状構造体の1つにすぎないため、今回の研究結果は、銅酸化物超伝導体に似たニッケル酸化物超伝導体族が存在している可能性を示唆している。
2019年8月29日号の Nature ハイライト
エレクトロニクス:カーボンナノチューブのマイクロプロセッサー
生化学:ずっと未発見だったミトコンドリアのATP感受性K+チャネルが確認された
代謝:褐色脂肪組織を介した熱産生は分岐鎖アミノ酸の取り込みに依存する
物性物理学:ニッケル酸化物超伝導体
ナノスケール材料:単一分子を通る熱流の測定
ナノスケール材料:最大限のドーピング
進化学:哺乳類では代謝率と体温は進化的には相関していない
再生生物学:プラナリアの分裂を介した再生の制御
微生物学:体の中で作られるプロバイオティクス
関節炎:関節で保護バリアを形成するマクロファージ
分子生物学:CTCFパラログであるBORISのがんでの働き