Nature ハイライト
生化学:ずっと未発見だったミトコンドリアのATP感受性K+チャネルが確認された
Nature 572, 7771
ミトコンドリア膜ではATP感受性のカリウムチャネルが働いているとずっと考えられてきたが、それがどのような分子なのかは不明で、その薬理学的性質も明らかになっていなかった。今回D De Stefaniたちが、長い間探し求められていたこのミトコンドリアタンパク質複合体(mitoKATPと呼ばれていた)を見つけ出し、これがATP感受性カリウム電流に関わっていることを明らかにしている。細胞膜にあってこれとよく似た働きをしているチャネルと同様、mitoKATPは小孔形成サブユニット(MITOK)とATP結合サブユニット(MITOSUR)1個ずつからなる。MITOKは、マウスの一般的な恒常性には不必要らしいが、ジアゾキシドによる薬理学的前処置が誘発する心臓保護作用には必要で、mitoKATPがこのような病的状況でジアゾキシドの分子標的であることが実証された。
2019年8月29日号の Nature ハイライト
エレクトロニクス:カーボンナノチューブのマイクロプロセッサー
生化学:ずっと未発見だったミトコンドリアのATP感受性K+チャネルが確認された
代謝:褐色脂肪組織を介した熱産生は分岐鎖アミノ酸の取り込みに依存する
物性物理学:ニッケル酸化物超伝導体
ナノスケール材料:単一分子を通る熱流の測定
ナノスケール材料:最大限のドーピング
進化学:哺乳類では代謝率と体温は進化的には相関していない
再生生物学:プラナリアの分裂を介した再生の制御
微生物学:体の中で作られるプロバイオティクス
関節炎:関節で保護バリアを形成するマクロファージ
分子生物学:CTCFパラログであるBORISのがんでの働き