Nature ハイライト
代謝:褐色脂肪組織を介した熱産生は分岐鎖アミノ酸の取り込みに依存する
Nature 572, 7771
褐色脂肪組織(BAT)は、エネルギーを熱として放散させて熱産生を適切に維持することにより、全体的なエネルギー消費に寄与する。グルコースと脂肪酸は、BATの主な燃料源だと考えられている。梶村真吾と米代武司(米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校)たちは今回、BATは低温馴化の際に、血糖や脂肪のクリアランスだけでなく、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の取り込みに対しても代謝シンクとして働くことを明らかにしている。この過程には、SLC25A44が必要である。SLC25A44はまだ特性が明らかにされていなかったミトコンドリアの輸送体で、BATにおけるBCAAの輸送と代謝分解を仲介する。BAT特異的にBCAAの代謝分解に欠陥があるマウスでは、エネルギー代謝や熱産生の低下につながり、食餌誘導性の肥満やグルコース不耐性が引き起こされた。
2019年8月29日号の Nature ハイライト
エレクトロニクス:カーボンナノチューブのマイクロプロセッサー
生化学:ずっと未発見だったミトコンドリアのATP感受性K+チャネルが確認された
代謝:褐色脂肪組織を介した熱産生は分岐鎖アミノ酸の取り込みに依存する
物性物理学:ニッケル酸化物超伝導体
ナノスケール材料:単一分子を通る熱流の測定
ナノスケール材料:最大限のドーピング
進化学:哺乳類では代謝率と体温は進化的には相関していない
再生生物学:プラナリアの分裂を介した再生の制御
微生物学:体の中で作られるプロバイオティクス
関節炎:関節で保護バリアを形成するマクロファージ
分子生物学:CTCFパラログであるBORISのがんでの働き