Nature ハイライト
微生物学:体の中で作られるプロバイオティクス
Nature 572, 7771
腸内微生物叢は病原体の定着を防止できるが、これがどういう仕組みで起こるのかは分かっておらず、このような保護作用の利用を目的とした治療戦略を実行する妨げとなっている。E Pamerたちは今回、腸内常在細菌のBlautia productaがランチビオティックの一種を分泌することを明らかにした。このランチビオティックはLactococcus lactisが産生するナイシンAに類似していて、院内感染の主な原因であるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の一種Enterococcus faeciumの定着を低減させる。マウスにB. productaを経口投与したところ、VREレベルが低下し、微生物叢への影響はわずかだった。患者では、このランチビオティック遺伝子の量がE. faeciumの量と逆相関していることが実証され、またマウスでは、このランチビオティック遺伝子の含量が多い微生物叢の移植によりVREの定着に対する抵抗性が高まることも明らかになった。
2019年8月29日号の Nature ハイライト
エレクトロニクス:カーボンナノチューブのマイクロプロセッサー
生化学:ずっと未発見だったミトコンドリアのATP感受性K+チャネルが確認された
代謝:褐色脂肪組織を介した熱産生は分岐鎖アミノ酸の取り込みに依存する
物性物理学:ニッケル酸化物超伝導体
ナノスケール材料:単一分子を通る熱流の測定
ナノスケール材料:最大限のドーピング
進化学:哺乳類では代謝率と体温は進化的には相関していない
再生生物学:プラナリアの分裂を介した再生の制御
微生物学:体の中で作られるプロバイオティクス
関節炎:関節で保護バリアを形成するマクロファージ
分子生物学:CTCFパラログであるBORISのがんでの働き