Nature ハイライト
発生生物学:形態形成の波に乗る
Nature 572, 7770
形態形成の際の細胞や組織の動きは、何が原動力となっているのだろうか。T Lecuitたちは、この原動力は、遺伝的制御とアクトミオシンネットワークの自己組織化のバランスであると見ている。ショウジョウバエ(Drosophila)の初期胚では、GPCRリガンドであるFogの局所的な転写を介してRho1/MyoIIが誘導されることにより、後端部で細胞の移動が開始される。これによって、組織規模でRho1/MyoIIの活性化の波が生じ、頂端収縮が背部上皮を前方へと進んでいく。しかし、いったん収縮の波が動き始めると、Fogは無関係になる[つまり、Fog(霧)が晴れて、道が開くわけだ]。局所的なフィードバックの増幅と波の進行に必要な空間的な共役には、MyoIIの収縮性だけで十分なのである。
2019年8月22日号の Nature ハイライト
海洋保全:サメ類が漁業から避難できる空間は限られている
発生生物学:形態形成の波に乗る
微生物学:微生物がマウスのALSを調節する
免疫学:多発性硬化症の動物モデルにおける制御性CD8+ T細胞
構造生物学:陽イオン–塩素イオン共輸送体の構造
材料科学:厚い有機エレクトロニクスデバイス
工学:デジタルマイクロ流体工学
ソフトマテリアル:フレキシブルなポンプ
社会科学:富のわずかな不平等が役に立つ理由
分子生物学:ポリユビキチンシグナルの構造をマッピングする方法