Nature ハイライト
材料科学:厚い有機エレクトロニクスデバイス
Nature 572, 7770
有機材料でできた発光ダイオード(OLED)は、現在、多くのエレクトロニクスデバイスに不可欠な部品となっており、安価で加工しやすく、柔軟性があるため、次世代型のディスプレイや照明の基盤となる可能性がある。しかし、OLED技術でよく問題になるのは、大型基板を用いる際に有機層の膜を均一に形成することである。この問題は、より厚い層を用いることで解決できるが、一般的に、層を厚くするとキャリア移動度が低下するため、駆動電圧を高くする必要がある。今回、安達千波矢(九州大学)たちは、輸送層として有機無機ハイブリッドペロブスカイトを用いて、極めて厚いOLEDを作製できることを実証している。そうしたペロブスカイト材料はキャリア移動度が高いため、高い電圧を必要とせず、しかも効率や耐久性を低下させることなく、膜厚を従来のOLEDの10倍以上にできる。このため、今回の極めて厚いOLEDは他の有機デバイスにおいても役立つ可能性がある。
2019年8月22日号の Nature ハイライト
海洋保全:サメ類が漁業から避難できる空間は限られている
発生生物学:形態形成の波に乗る
微生物学:微生物がマウスのALSを調節する
免疫学:多発性硬化症の動物モデルにおける制御性CD8+ T細胞
構造生物学:陽イオン–塩素イオン共輸送体の構造
材料科学:厚い有機エレクトロニクスデバイス
工学:デジタルマイクロ流体工学
ソフトマテリアル:フレキシブルなポンプ
社会科学:富のわずかな不平等が役に立つ理由
分子生物学:ポリユビキチンシグナルの構造をマッピングする方法