Nature ハイライト
社会科学:富のわずかな不平等が役に立つ理由
Nature 572, 7770
公共財ゲームの大多数は、協力あるいは裏切りの傾向を除いて、参加者があらゆる面で同様だと仮定している。しかし、現実では、参加者は初期保有額(最初に与えられる富の量)および生産性(自らが生み出す富の量)が異なっている。M Nowakたちは今回、こうした不平等をモデル化して何が起こるかを調べ、実際の人々を参加させるオンライン実験でそのモデルを検証した。協力は、全ての参加者が平等な場合には起こらない傾向があった。また、参加者が極端に不平等な場合にも、協力が瓦解する傾向があった。全体として、福利に必要なのは、生産性と初期保有額の傾向がそろうといった、わずかな不平等だった。つまり、生産性の高い個人はより多くの報酬を受け取ることが必要なのである。対照的に、初期保有額と生産性がうまく調整されていないと、協力は急速に瓦解する。
2019年8月22日号の Nature ハイライト
海洋保全:サメ類が漁業から避難できる空間は限られている
発生生物学:形態形成の波に乗る
微生物学:微生物がマウスのALSを調節する
免疫学:多発性硬化症の動物モデルにおける制御性CD8+ T細胞
構造生物学:陽イオン–塩素イオン共輸送体の構造
材料科学:厚い有機エレクトロニクスデバイス
工学:デジタルマイクロ流体工学
ソフトマテリアル:フレキシブルなポンプ
社会科学:富のわずかな不平等が役に立つ理由
分子生物学:ポリユビキチンシグナルの構造をマッピングする方法