Nature ハイライト

免疫学:多発性硬化症の動物モデルにおける制御性CD8+ T細胞

Nature 572, 7770

ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗原により誘導される実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のような多発性硬化症のマウス実験モデルは、自己免疫とその制御の基盤となる機構を調べるための研究ツールとして役立つ。N Saligramaたちは今回、酵母のペプチド–主要組織適合遺伝子複合体(pMHC)ライブラリーの不偏スクリーニングを行い、MOG免疫後に活性化されるT細胞を特定した。この研究から、活性化されてクローン増殖したCD4+ T細胞がMOG特異性を示すのに対して、クローン増殖したCD8+ T細胞は、MOGとは無関係な代替ペプチドのT細胞受容体(TCR)認識に依存することが明らかになった。また、クローン増殖したCD8+ T細胞がMOG特異的CD4+ T細胞を阻害し、EAEの病態を抑制する証拠が示された。さらに、同じように増殖したCD8+ T細胞は、多発性硬化症患者の血液中にも存在することが分かった。代替ペプチドに対するオーファンTCRを発現する制御性CD8+ T細胞の特異性を明らかにすることは、疾患に関連した抗原に特異的なCD4+ T細胞の阻害により病態を抑制するワクチン設計への道筋となる可能性がある。

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