Nature ハイライト
進化学:ギガントピテクス属の近縁動物が明らかに
Nature 576, 7786
ギガントピテクス属(Gigantopithecus)は、200万~30万年前に中国南部に生息していた類人猿である。その存在は歯とわずかな顎の断片からしか知られていないが、それらの巨大なサイズから判断すると体重は成体のゴリラの2倍に達したと予想され、それは恐ろしい生物だったに違いない。遺物がほとんど残っていないことから類縁関係の解明は困難で、人類学者たちは、東南アジアで初期のヒト族と同時代に存在したこの謎めいた動物について理解を深めたいと心底願ってきた。今回F Welkerたちは、中国南部の洞窟遺跡で発見された190万年前の大臼歯のエナメル質からプロテオームを抽出し、そのアミノ酸配列を解読している。系統発生学的解析の結果、現生類人猿の中でギガントピテクス属に最も近縁なのはオランウータン属(Pongo)であることが明らかになった。ただし、これら2つの系統は1200万~1000万年前に分岐しており、その近さは相対的なものである。
2019年12月12日号の Nature ハイライト
物性物理学:ギャップを飛び越える
ナノスケール材料:ナノスケールの電磁気学
材料科学:湿性煙道ガス中でCO2を捕捉する材料の探索のための金属有機構造体のコンピューターライブラリーのマイニング
進化学:ギガントピテクス属の近縁動物が明らかに
神経科学:脳における行動の諸変数の集団的表現
医学研究:動員された筋膜による深部創傷のパッチ修復
免疫学:抗腫瘍CAR T細胞療法の改善
遺伝学:ヒトの発生におけるクロマチン構造の獲得
微生物学:酸素発生型光合成の出現時期は再検討すべきか
構造生物学:マラリア原虫の薬剤抵抗性機構
構造生物学:T7SSの原子レベルの構造