Nature ハイライト
微生物学:酸素発生型光合成の出現時期は再検討すべきか
Nature 576, 7786
マンガンは、酸素がなければ酸化されて酸化鉱物になることはないと広く信じられている。そのため酸化マンガン鉱石は、海洋環境での酸素発生型光合成の最初期の進化を24億年前に起こった「大酸化イベント」より前にまでさかのぼらせるための主要な地球化学的代替指標として用いられてきた。今回M Dayeたちは、酸素非発生型光合成微生物が、大気中の酸素濃度が上昇する前の環境によく似たほぼ完全な嫌気的条件下でマンガンを酸化して酸化マンガンを形成できることを明らかにしている。分子状酸素濃度が極端に低い条件下で起こる酸化マンガンのこうした生物学的生成は光によって駆動されていて、Chlorobium属の微生物をGeobacter属などの他の微生物と一緒に増殖させたときにだけ起こる。そのため、この過程はこの2種類の生物間での細胞外電子伝達に依存している可能性が考えられるが、その仕組みは現在まだ分かっていない。これらの研究結果は、酸素発生型光合成の出現時期の決定に大きく関わってきそうだ。
2019年12月12日号の Nature ハイライト
物性物理学:ギャップを飛び越える
ナノスケール材料:ナノスケールの電磁気学
材料科学:湿性煙道ガス中でCO2を捕捉する材料の探索のための金属有機構造体のコンピューターライブラリーのマイニング
進化学:ギガントピテクス属の近縁動物が明らかに
神経科学:脳における行動の諸変数の集団的表現
医学研究:動員された筋膜による深部創傷のパッチ修復
免疫学:抗腫瘍CAR T細胞療法の改善
遺伝学:ヒトの発生におけるクロマチン構造の獲得
微生物学:酸素発生型光合成の出現時期は再検討すべきか
構造生物学:マラリア原虫の薬剤抵抗性機構
構造生物学:T7SSの原子レベルの構造