Nature ハイライト
構造生物学:マラリア原虫の薬剤抵抗性機構
Nature 576, 7786
クロロキン(CQ)とピペラキン(PPQ)は、よく知られていて化学的に類縁なキニーネの後続としてマラリアの治療に使われている薬剤である。しかし、アジアではこの2つの薬に対する抵抗性が出現しており、もっと最近では、ピペラキン抵抗性が東南アジアで広がっている。抵抗性の主な決定因子が輸送体PfCRTであることは知られているが、抵抗性をもたらす機構は解明されていない。今回F Manciaたちは、この輸送体の7G8バリアント(クロロキン抵抗性だがピペラキンには感受性を示す)の構造を明らかにした。この研究は、一連の輸送体バリアントの機能研究および遺伝的研究を組み合わせることにより、PfCRTの複雑な抵抗性機構についての重要な手掛かりをもたらしている。この研究は、これから出現するだろう抵抗性機構をマラリア原虫に先立って解明するための基盤となる。
2019年12月12日号の Nature ハイライト
物性物理学:ギャップを飛び越える
ナノスケール材料:ナノスケールの電磁気学
材料科学:湿性煙道ガス中でCO2を捕捉する材料の探索のための金属有機構造体のコンピューターライブラリーのマイニング
進化学:ギガントピテクス属の近縁動物が明らかに
神経科学:脳における行動の諸変数の集団的表現
医学研究:動員された筋膜による深部創傷のパッチ修復
免疫学:抗腫瘍CAR T細胞療法の改善
遺伝学:ヒトの発生におけるクロマチン構造の獲得
微生物学:酸素発生型光合成の出現時期は再検討すべきか
構造生物学:マラリア原虫の薬剤抵抗性機構
構造生物学:T7SSの原子レベルの構造