Nature ハイライト
生物物理学:拡散理論の飛躍
Nature 579, 7799
ブラウン運動は、液体中を拡散する受動的な粒子のランダム運動であり、統計力学におけるよく知られた概念である。この挙動のカギは、流体相が平衡状態にあることである。ホスト相が、例えば遊泳微生物の懸濁液などの、液体ではなく「アクティブな」媒質である場合は、こうした拡散ダイナミクスが変化することが知られている。金澤輝代士(筑波大学ほか)たちは今回、そのような平衡から外れた場合の拡散過程を記述する理論的な枠組みを開発して、観測されている古典的なブラウン運動からのずれを説明している。この枠組みはまた、拡散する受動的な粒子が、系の特定の濃度のアクティブな成分によって駆動されて、長距離レヴィ・フライト(採餌戦略の一部として自然界でも利用されている可能性がある現象)を示す領域の存在を予測する。
2020年3月19日号の Nature ハイライト
物性物理学:二次元モアレ超格子における電子相関の量子シミュレーション
物性物理学:二次元モアレ超格子における一般化されたウィグナー結晶
生物物理学:拡散理論の飛躍
材料科学:粒界の相変態
フローケミストリー:中央ステーションを通る自動合成
古生物学:初期の鳥類
神経科学:ハエに見られる極端な嗅覚特化の神経相関
植物科学:植物組織の定量的アトラス
細胞生物学:統合的ストレス応答に役割を果たす新しい因子群
生化学:小胞体で機能するグルコシルトランスフェラーゼの構造
分子生物学:クロマチンのリモデリング