Nature ハイライト
Cover Story:輝かしい報告:熱撮像によって明らかになった始原的な小惑星の多孔質性
Nature 579, 7800
表紙は、炭素質(C型)小惑星162173 Ryugu(リュウグウ)の熱画像である。C型小惑星は約46億年前に形成された天体で、それらを構成する始原的な物質から太陽系の起源を明らかにできる可能性がある。しかし、C型小惑星は最も一般的なタイプの小惑星であるにもかかわらず、その物理的特性についてはほとんど分かっていない。今回、岡田達明(宇宙航空研究開発機構ほか)たちは、探査機はやぶさ2に搭載された熱探知カメラ(中間赤外カメラ;TIR)が、リュウグウとの接近遭遇時に捉えた熱撮像データの解析結果について報告している。今回の結果は、リュウグウが、おそらく極めて多孔質の小さな岩石が緩くまとまった集合体であることを明らかにしている。著者たちは、宇宙の大部分に広がっているふわふわした塵と惑星などの稠密な岩石質天体の間のミッシングリンクである可能性を示唆している。
2020年3月26日号の Nature ハイライト
物性物理学:重フェルミオン超伝導体における三重項電子対の形成
量子物理学:長岡強磁性の量子シミュレーション
大気科学:成層圏オゾンの回復による大気循環の変化傾向の休止
進化学:脊椎動物の手の起源
神経科学:別々のドーパミン受容体による条件付けと報酬学習の精緻化
植物細胞生物学:多精受精を防ぐ
がん:マイクロバイオームのシグネチャーでがんを監視
免疫学:脂質吸収と腸バリア機能の神経免疫調節
免疫学:性依存的な脂肪炎症
分子生物学:相分離により形成される反応中心
分子生物学:アルコールに対する細胞の応答
化学生物学:コンピュータ上で見つかったメラトニン化合物がマウスで機能した