Nature ハイライト
		
		
        
		
		進化学:脊椎動物の手の起源
Nature 579, 7800
 
	    Credit: Katrina Kenny
四肢類(肢が4本の脊椎動物)の祖先に近縁な化石魚類であるエルピストステゲ(Elpistostege)の、全長1.57 mに及ぶ既知で最も完全な標本が発見され、陸生脊椎動物への進化について新たな手掛かりがもたらされた。エルピストステゲは、パンデリクティス(Panderichthys)およびティクタアリク(Tiktaalik)と共にエルピストステゲ類を構成する。これらの魚類の一部(特にパンデリクティスとティクタアリク)からは多くの情報が得られているが、いずれの標本からも、後に手へと進化を遂げる胸鰭の完全な骨格構造はこれまで明らかにされていなかった。今回J Longたちは、この新たな標本の胸鰭についてCT(コンピューター断層撮影)スキャンを行い、四肢類の手首や指の骨に似た配置の骨格パターンを明らかにしている。エルピストステゲの胸鰭には魚類に典型的な鰭条が残っているが(四肢類では失われている)、内部では手首と手の要素が著しく進化しており、これらの魚類が陸上へと進出して四肢類になった際に、いつでも表面化できる状態にあったと考えられる。
2020年3月26日号の Nature ハイライト
- 物性物理学:重フェルミオン超伝導体における三重項電子対の形成
- 量子物理学:長岡強磁性の量子シミュレーション
- 大気科学:成層圏オゾンの回復による大気循環の変化傾向の休止
- 進化学:脊椎動物の手の起源
- 神経科学:別々のドーパミン受容体による条件付けと報酬学習の精緻化
- 植物細胞生物学:多精受精を防ぐ
- がん:マイクロバイオームのシグネチャーでがんを監視
- 免疫学:脂質吸収と腸バリア機能の神経免疫調節
- 免疫学:性依存的な脂肪炎症
- 分子生物学:相分離により形成される反応中心
- 分子生物学:アルコールに対する細胞の応答
- 化学生物学:コンピュータ上で見つかったメラトニン化合物がマウスで機能した


