Nature ハイライト
植物細胞生物学:多精受精を防ぐ
Nature 579, 7800
顕花植物では、雄は花粉管を用いて不動精子を雌の胚珠内の配偶体へと輸送し、これによって受精が起こる。受容体キナーゼのFERONIAは、精子の送達を確実に行うだけでなく、多精受精(2個以上の精子による受精)の阻害にも役割を担っている。今回A Cheungたちは、FERONIAが多精受精を防ぐ機構について明らかにしている。まず、繊形装置という雌性配偶体への入り口にある細胞壁の一領域では、花粉管の伸長によって、細胞壁成分であるペクチンの断片の生成と、一酸化窒素の蓄積とがFERONIA依存的に起こる。次に、これらの一酸化窒素は化学誘因物質のLUREを修飾してその作用を変化させ、花粉管の胚珠への誘引を抑制する。
2020年3月26日号の Nature ハイライト
物性物理学:重フェルミオン超伝導体における三重項電子対の形成
量子物理学:長岡強磁性の量子シミュレーション
大気科学:成層圏オゾンの回復による大気循環の変化傾向の休止
進化学:脊椎動物の手の起源
神経科学:別々のドーパミン受容体による条件付けと報酬学習の精緻化
植物細胞生物学:多精受精を防ぐ
がん:マイクロバイオームのシグネチャーでがんを監視
免疫学:脂質吸収と腸バリア機能の神経免疫調節
免疫学:性依存的な脂肪炎症
分子生物学:相分離により形成される反応中心
分子生物学:アルコールに対する細胞の応答
化学生物学:コンピュータ上で見つかったメラトニン化合物がマウスで機能した