Nature ハイライト
Cover Story:ぬれずに丈夫:機械的に堅牢な超疎水表面
Nature 582, 7810
超疎水表面は、ぬれや汚れを生じさせず、生物の付着を避けられるため、バイオテクノロジーや医学においてさまざまに応用されている。その撥水性は、液体と表面の接触を最小にするナノスケールの表面粗さに由来する。しかし、これによって表面が壊れやすくもなるという問題が生じるため、高い撥水性と材料の堅牢性は相いれない特性であると一般的には考えられてきた。今回R RasとX Dengたちは、高い撥水性を与えるナノ構造と、そうしたナノ構造を組み込むポケットがあるマイクロ構造フレームという2つの長さスケールで構成された表面を提示し、撥水性と堅牢性が両立することを示している。著者たちは、このフレームがナノ構造を保護する「よろい」となると説明しており、この概念をシリコン、セラミックス、金属、透明ガラスに適用して、鋼の刃や紙やすりによる摩耗に耐え得る超疎水表面を形成できると述べている。
2020年6月4日号の Nature ハイライト
光物理学:光のトポロジカル流体
光物理学:共振器における自由電子と光子の効率の良い結合
生命の起源:DNAは生命誕生の前に存在したのか
地球科学:大陸の分裂時に濃集した深部炭素
心血管疾患:コレステロール関連疾患リスクの中心地域の世界的な変遷
進化学:アイスランドに残された旧人類の痕跡
再現性:データセットの解析法はいくらでもある
神経変性:腸内環境がALS発症に関与する
がん:1つのがん遺伝子上の複数の変異
微生物学:感染した赤血球上のマラリア原虫抗原に対して保護作用を持つ抗体
遺伝学:短いものへの配慮