Nature ハイライト
Cover Story:回転させて:多段階化学プロセスを容易にする同心円状の液体反応装置
Nature 586, 7827
化学合成や分離では、古くからフラスコが基本的な道具として使われてきた。近年になって、中間体を手作業で扱うことを必要とせずに多段階処理を実行するバッチ式反応装置やフローシステムが開発されているが、どちらの方法にも、設置や制御に高度な精密工学が必要である。今回B Grzybowskiたちは、厚さが数百マイクロメートルから数ミリメートルの非混和性液体あるいは対になった非混和性液体の自己組織化する同心円状の層に基づく、回転する化学反応装置を報告している。処理過程の複数の段階は、層の秩序化によって決定され、反応装置の回転速度の周期的な変動を通した混合によって輸送が促進される。著者たちは、この系を用いて多段階化学合成、酸と塩基の同時抽出、複雑な反応混合物の分離を行うことで、こうした反応装置の有用性を実証している。
2020年10月1日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:単層グラフェンを用いたマイクロ波検出器
化学:酵素を用いる合成化学
気候科学:グリーンランド氷床からの質量損失は間もなく過去1万2000年で最大に
神経科学:解離状態の神経リズム
幹細胞:単一細胞レベルでの細胞の再プログラム化
微生物学:微生物相を介した腸の修復
コロナウイルス:SARS-CoV-2薬の大規模スクリーニング
免疫学:ヒトにおけるインフルエンザワクチン接種に対する胚中心B細胞応答
創薬:抗生物質の全合成
構造生物学:de novoなDNAメチル化