Nature ハイライト
幹細胞:単一細胞レベルでの細胞の再プログラム化
Nature 586, 7827
体細胞がナイーブ型やプライム型の多能性状態に再プログラム化できることはよく確立されているが、この再プログラム化につながる個々の分子事象はほとんど分かっていなかった。J Poloたちは今回、単一細胞RNA塩基配列解読法を用いて、体細胞が再プログラム化の過程でナイーブ型およびプライム型の多能性状態に移行する際に体細胞に起こる遺伝子発現変化を追跡した。この移行の間に、細胞には異なる転写変化が起こり、そのため細胞は異なる再プログラム化経路をたどることが分かった。重要なのは、これらの解析を通して、ナイーブ型の再プログラム化の際に一過性の栄養外胚葉様の状態が生じることが明らかになり、これによって誘導栄養膜幹細胞の樹立が可能になったことである。総合的には、この研究によって細胞の再プログラム化についての新しい知見がもたらされ、誘導栄養膜幹細胞の樹立が可能になったことで初期発生の今後の研究に役立つと考えられる。
2020年10月1日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:単層グラフェンを用いたマイクロ波検出器
化学:酵素を用いる合成化学
気候科学:グリーンランド氷床からの質量損失は間もなく過去1万2000年で最大に
神経科学:解離状態の神経リズム
幹細胞:単一細胞レベルでの細胞の再プログラム化
微生物学:微生物相を介した腸の修復
コロナウイルス:SARS-CoV-2薬の大規模スクリーニング
免疫学:ヒトにおけるインフルエンザワクチン接種に対する胚中心B細胞応答
創薬:抗生物質の全合成
構造生物学:de novoなDNAメチル化