Nature ハイライト
創薬:抗生物質の全合成
Nature 586, 7827
抗生物質耐性は、現代医学が抱える大きな難問の1つである。ストレプトグラミンA群抗生物質は、細菌のリボソームを阻害する天然物である。これに対する細菌の抵抗手段の1つが、Vatファミリーのアセチルトランスフェラーゼによるものである。今回I Seipleたちは、ストレプトグラミン類似体のライブラリーを調製するモジュール式合成法について報告している。彼らは、類似体候補の発見にクライオ電子顕微鏡を取り入れて、有望な類似体のリボソームへの結合を詳しく調べ、それぞれ異なる相互作用を明らかにした。こうした化合物の1つは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のストレプトグラミン耐性株に対して活性を示し、細菌感染のマウスモデルで有効性が見られた。この研究は、こうした合成戦略が抗生物質の有効性の維持につながる可能性を示唆している。
2020年10月1日号の Nature ハイライト
ナノスケール材料:単層グラフェンを用いたマイクロ波検出器
化学:酵素を用いる合成化学
気候科学:グリーンランド氷床からの質量損失は間もなく過去1万2000年で最大に
神経科学:解離状態の神経リズム
幹細胞:単一細胞レベルでの細胞の再プログラム化
微生物学:微生物相を介した腸の修復
コロナウイルス:SARS-CoV-2薬の大規模スクリーニング
免疫学:ヒトにおけるインフルエンザワクチン接種に対する胚中心B細胞応答
創薬:抗生物質の全合成
構造生物学:de novoなDNAメチル化