Nature ハイライト
古生物学:ハラミヤ類の謎が解けた
Nature 590, 7845
ハラミヤ類として知られる、極めて古い絶滅した哺乳類分類群の系統発生学的な位置付けに関しては、これまで2つの相反する見解があった。議論の中心となってきたのは、哺乳類の進化で極めて重要となる中耳の構造である。一方の見解は、ハラミヤ類の耳小骨が、骨化したメッケル軟骨によって歯骨と連結されたままになっていたというもので、これによるとハラミヤ類は極めて原始的ということになる。もう一方の見解は、ハラミヤ類の耳小骨が3つに分かれていたというもので、この解釈ではハラミヤ類は多丘歯類(同じく絶滅した哺乳類分類群で、進化的により派生的)に近縁となる。今回S Biたちは、ハラミヤ類Vilevolodon diplomylosの新たな標本について報告している。この標本は、以前Natureで記載されたホロタイプと同一の場所および地層から発掘されたもので、その下顎には歯骨後方の溝もメッケル溝も見られなかった。これは、Vilevolodonのホロタイプを除く他の全ての真ハラミヤ類で報告されている状態で、このことから、ハラミヤ類が極めて原始的な哺乳類の派生的分類群ではなく、より進化的に進んだ(多丘歯類により近縁の)分類群であったと示唆された。
2021年2月11日号の Nature ハイライト
天体素粒子物理学:暗黒物質の量子的な探索
超伝導材料:モアレ3層グラフェンにおける超伝導
光学・フォトニクス:汎用3D撮像プラットフォーム
化学:単純な塩から複雑な結晶を作る
古生物学:ハラミヤ類の謎が解けた
集団遺伝学:豊富な表現型情報を持つ多様な人々から得たTOPMedゲノム
脊髄損傷:脊髄刺激によって脊髄損傷による血圧不安定性を阻止する
コロナウイルス:弱毒生黄熱ウイルス17D株(YF17D)ベクターを用いるSARS-CoV-2ワクチン
代謝:インスリン受容体シグナル伝達についての概念を見直す
分子生物学:空間的ゲノミクス