Nature ハイライト
代謝:インスリン受容体シグナル伝達についての概念を見直す
Nature 590, 7845
インスリンとインスリン様増殖因子1(IGF1)を介するシグナル伝達は、成長と増殖、代謝を調節しているが、これらの経路の異常調節は糖尿病やがんを引き起こす。H Lickertたちは今回、マウスβ細胞でインスリンおよびIGF1受容体(IGF1R)が関わるシグナル伝達経路の負の調節因子を明らかにし、「inceptor(insulin inhibitory receptor;Iirによりコードされる)」と命名した。inceptorは、インスリン受容体(INSR)やIGF1Rと相互作用してクラスリンを介したエンドサイトーシスを可能にし、これが受容体脱感作につながる。従って、マウスでinceptorを遺伝学的に除去したり抗体によって阻害したりすると、インスリン受容体の持続的な活性化が引き起こされるので、inceptorはインスリン感作や糖尿病治療のための主要な臨床分子標的となり得ることが分かった。
2021年2月11日号の Nature ハイライト
天体素粒子物理学:暗黒物質の量子的な探索
超伝導材料:モアレ3層グラフェンにおける超伝導
光学・フォトニクス:汎用3D撮像プラットフォーム
化学:単純な塩から複雑な結晶を作る
古生物学:ハラミヤ類の謎が解けた
集団遺伝学:豊富な表現型情報を持つ多様な人々から得たTOPMedゲノム
脊髄損傷:脊髄刺激によって脊髄損傷による血圧不安定性を阻止する
コロナウイルス:弱毒生黄熱ウイルス17D株(YF17D)ベクターを用いるSARS-CoV-2ワクチン
代謝:インスリン受容体シグナル伝達についての概念を見直す
分子生物学:空間的ゲノミクス