Nature ハイライト
材料科学:動作中の電池を詳しく調べる
Nature 594, 7864
リチウムイオン電池技術においてすでに成し遂げられた目覚ましい進歩をさらに加速するには、その根底にあるイオンダイナミクスに関する、電池内での現実的な動作条件下における知見を深めることが重要である。今回A Merryweatherたちは、光学干渉散乱顕微鏡法をいかにして、そうした目的に利用できるかを示している。この比較的単純な手法は、機能している電池電極の充放電状態サイクルの際のナノスケールのイオンダイナミクスを追跡でき、次にこうしたダイナミクスは、基礎となるあらゆる電子的変化や構造的変化と関連付けられ、これによって微細構造的特徴が全体的な電池性能に及ぼす影響が直接調べられるようになる。さらに、こうした手法は原理的には、イオン輸送によって機能を得る他の材料系にも応用できるはずである。
2021年6月24日号の Nature ハイライト
量子物理学:最大規模の量子チップを用いた量子シミュレーション
物性物理学:電子に引きずられる光子
材料科学:動作中の電池を詳しく調べる
化学:分子ポンプ
発生生物学:毛包発生の「テレスコープ」モデル
コロナウイルス:多量体フェリチンナノ粒子ベースの汎ベータコロナウイルスワクチンの候補の開発
心血管疾患:MARK4は微小管の脱チロシン化を変化させて虚血性心不全を調節する
がん:肝臓に常在するナチュラルキラー細胞はがん細胞の休眠を維持する
分子生物学:Spo11によるDNAギャップの形成
構造生物学:神経伝達物質がその受容体を介してシグナルを伝える仕組み
構造生物学:グルタミン酸シグナル伝達の複雑さ