Nature ハイライト
発生生物学:毛包発生の「テレスコープ」モデル
Nature 594, 7864
毛包は発生過程において、毛包プラコードとして知られる肥厚した皮膚における前駆細胞の増殖と分化を介して形成される。今回、藤原裕展(理化学研究所生命機能科学研究センター)たちは、ライブイメージングと単一細胞トランスクリプトミクスを組み合わせて、毛包プラコードが毛包へと成長する際の、毛包プラコード内の個々の細胞の運命をマッピングし、追跡している。単一細胞レベルでの経時的な追跡により、毛包プラコードでは、前駆細胞の集団が同心円状に並んでいて、これが長軸方向に並んだ筒状の区画として望遠鏡のように伸長し、毛包を形成することが分かった。まとめると今回の研究は、昆虫の付属肢の発生と類似した毛包発生モデルを提示しており、これは、外胚葉器官の発生機構が保存されている可能性を示唆している。
2021年6月24日号の Nature ハイライト
量子物理学:最大規模の量子チップを用いた量子シミュレーション
物性物理学:電子に引きずられる光子
材料科学:動作中の電池を詳しく調べる
化学:分子ポンプ
発生生物学:毛包発生の「テレスコープ」モデル
コロナウイルス:多量体フェリチンナノ粒子ベースの汎ベータコロナウイルスワクチンの候補の開発
心血管疾患:MARK4は微小管の脱チロシン化を変化させて虚血性心不全を調節する
がん:肝臓に常在するナチュラルキラー細胞はがん細胞の休眠を維持する
分子生物学:Spo11によるDNAギャップの形成
構造生物学:神経伝達物質がその受容体を介してシグナルを伝える仕組み
構造生物学:グルタミン酸シグナル伝達の複雑さ