Nature ハイライト
がん:肝臓に常在するナチュラルキラー細胞はがん細胞の休眠を維持する
Nature 594, 7864
原発性腫瘍から播種されたがん細胞は、遠隔組織で何年も休眠細胞として存続する可能性がある。A Correiaたちは今回、乳がんのマウスモデルを調べ、肝臓環境では、ナチュラルキラー(NK)細胞がインターフェロンγを分泌して、播種性腫瘍細胞を休眠状態に保つことを明らかにしている。インターロイキン15を用いた補助(アジュバント)免疫療法は、NK細胞プールを拡大させることにより転移性増殖を抑制した。休眠からの脱出と肝転移巣の形成は、活性化された肝星細胞の蓄積に関連していて、こうした肝星細胞は、腫瘍細胞上の受容体CXCR4を介して作用するサイトカインCXCL12を分泌することによって、NK細胞の静止状態を誘導した。活性化された肝星細胞の蓄積とNK細胞の存在量の減少は、ヒト乳がんの肝転移において観察されている。
2021年6月24日号の Nature ハイライト
量子物理学:最大規模の量子チップを用いた量子シミュレーション
物性物理学:電子に引きずられる光子
材料科学:動作中の電池を詳しく調べる
化学:分子ポンプ
発生生物学:毛包発生の「テレスコープ」モデル
コロナウイルス:多量体フェリチンナノ粒子ベースの汎ベータコロナウイルスワクチンの候補の開発
心血管疾患:MARK4は微小管の脱チロシン化を変化させて虚血性心不全を調節する
がん:肝臓に常在するナチュラルキラー細胞はがん細胞の休眠を維持する
分子生物学:Spo11によるDNAギャップの形成
構造生物学:神経伝達物質がその受容体を介してシグナルを伝える仕組み
構造生物学:グルタミン酸シグナル伝達の複雑さ