Nature ハイライト

細胞生物学:Nf1タンパク質の構造

Nature 599, 7884

神経繊維腫症I型(NF1)は腫瘍抑制遺伝子NF1の変異が原因で起こるが、この遺伝子は、がん遺伝子Rasのシグナル伝達を抑制することのできるGTPアーゼ活性化タンパク質をコードしている。今回M CarroniとB Ruppたちは、完全長ヒトNf1二量体のクライオ電子顕微鏡構造を決定している。閉じた自己阻害型のコンホメーションでは、触媒ドメインGRDが覆われておりRasに結合できない。1個のプロトマーの開いたコンホメーションでは、GRDとSec14-PHの2つのドメインの向きが変わり、Nf1にRasと細胞膜が結合できるようになる。この研究により、Nf1の作用機構の解明と、疾患変異がNf1の機能不全に結び付く仕組みの解明に取り組む基盤が整った。

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