Nature ハイライト
細胞生物学:Nf1タンパク質の構造
Nature 599, 7884
神経繊維腫症I型(NF1)は腫瘍抑制遺伝子NF1の変異が原因で起こるが、この遺伝子は、がん遺伝子Rasのシグナル伝達を抑制することのできるGTPアーゼ活性化タンパク質をコードしている。今回M CarroniとB Ruppたちは、完全長ヒトNf1二量体のクライオ電子顕微鏡構造を決定している。閉じた自己阻害型のコンホメーションでは、触媒ドメインGRDが覆われておりRasに結合できない。1個のプロトマーの開いたコンホメーションでは、GRDとSec14-PHの2つのドメインの向きが変わり、Nf1にRasと細胞膜が結合できるようになる。この研究により、Nf1の作用機構の解明と、疾患変異がNf1の機能不全に結び付く仕組みの解明に取り組む基盤が整った。
2021年11月11日号の Nature ハイライト
物性物理学:超伝導カゴメ物質における電荷秩序
化学:工業用プロパン脱水素化向けの単純かつスケーラブルな触媒の作製
気候科学:最終氷期極大期以降の全球表面温度の再構築
進化学:転がる苔虫は化石を生ぜず?
ゲノミクス:タリム盆地のミイラの意外な起源
植物科学:根の成長のための複雑なオーキシンシグナル伝達
コロナウイルス:COVID-19におけるウイルス誘導性老化
腫瘍生物学:カロリー制限は脂質代謝の脱調節を介して腫瘍増殖を減少させる
細胞生物学:Nf1タンパク質の構造
構造生物学:カイニン酸受容体での神経伝達の調節