Nature ハイライト 細胞:鉄のリベットをもつ古細菌 2007年1月4日 Nature 445, 7123 古細菌Ferroplasma acidiphilumは、黄鉄鉱の酸性鉱山廃水など、鉄や重金属に富む酸性環境でみられる極限環境微生物である。同じような環境に生息するF. acidiphilumの近縁種も含めて、既知の生物の大部分は、鉄を含む保存された金属タンパク質を数種類しかもっていない。しかし、F. acidiphilumの代謝装置は独特であり、鉄を含む金属タンパク質がプロテオームに高率で含まれている。これらのタンパク質には、鉄原子が「鉄のリベット」として働いて三次元構造を安定化させているものが多い。F. acidiphilumの系統はもっぱら黄鉄鉱環境の中で進化したものであり、そのタンパク質レパートリーは初期の細胞生命体がもっていたものを表している可能性があると考えられる。 2007年1月4日号の Nature ハイライト 医学:がんの幹細胞 物理:小さい孔を通る光 進化:酸素を取り込んだ膜タンパク質 宇宙:パルサーが高速で自転する訳 量子情報科学:量子計算の間違いをなくす 進化:化石の歯を調べる最先端の手法 遺伝:数でみる変異 生理:ヒトをかぎつける遺伝子 細胞:鉄のリベットをもつ古細菌 目次へ戻る