Nature ハイライト

生物物理:光合成の原動力

Nature 446, 7137

光合成は、地球上のほぼすべての生物にとっての一次エネルギー源となっている。その注目すべき特徴の1つが、光合成装置を構成する光捕集複合体内でのエネルギー移動効率の高さである。光合成系の中核でのエネルギー移動過程には量子的なやり方が使われているのではないかと考えられてきたが、この予想が今回、新しい分光学的研究により確かめられた。この研究は、緑色硫黄細菌Chlorobium tepidumのバクテリオクロロフィル複合体内で波のようなエネルギー移動に特徴的な電子の量子ビートが生じていることを明らかにしている。エネルギー移動過程がこのような波動様特性をもつことで、光合成の極めて高い効率を説明することが可能になる。この方法なら、エネルギー移動にとって最も効率のよい経路を見つけるために、広大な位相空間を効果的に探索することが可能になるからである。

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