Nature ハイライト 気候:オゾンと地球温暖化 2007年8月16日 Nature 448, 7155 現在、植物と土壌は人間活動によって排出される二酸化炭素量の約4分の1を蓄えることで、地球温暖化の進行を遅らせているが、この緩和効果は、地表面付近のオゾン量の増加によって弱められている可能性がある。高高度のオゾンが有害な紫外線を遮蔽するのに対して、低高度のオゾンは植物に害を与え、二酸化炭素を取り込む能力を低下させて地球温暖化を加速する。気候モデルの多くは、弱い温室効果ガスである低高度のオゾンによる温暖化の影響は取り込んでいるが、植生に与える影響は考慮していない。今回の新しい研究は、産業活動によって増大すると予測されるオゾン濃度が、植物の生産力を著しく低下させることを示唆している。この間接的影響は、温室効果ガスとしてのオゾンの直接的影響よりも大きく、地球温暖化に寄与しそうである。 2007年8月16日号の Nature ハイライト 地球:断層をすべりやすくする滑石 医学:癌と老化 宇宙:ミラのイメージ 物理:大きく育ったシュレディンガーの猫 材料:単成分金属ガラスを調べる 気候:オゾンと地球温暖化 医学:Lkb1と癌の因果関係 生化学:抗生物質の新しい生産ライン 生態:分散の種子をまくのは雌 目次へ戻る