Nature ハイライト 物理:大きく育ったシュレディンガーの猫 2007年8月16日 Nature 448, 7155 「シュレディンガーの猫」という思考実験は、量子物理学では原子が状態の重ね合わせとして存在できるという考えを説明するものだ。猫は箱の中に放射性原子と一緒に入れられ、原子が崩壊すると毒薬が放出される仕組みになっていると考える。「古典的」世界では、猫は死んでいるか、生きているかのどちらかだが、量子世界では「箱」が閉じているかぎり、猫は死んでいる状態と生きている状態の両方に同時にあるといえる。自由に伝播する光の「猫」状態は、はっきり分離した準古典状態の量子的重ね合わせとして定義される。このような状態は、量子情報処理や量子論を検証する実験で役立つかもしれない。最近の実験では、実用化するにはあまりに小さすぎるものの、光版シュレディンガーの「子猫」の生成に成功している。今回、理論と実験を組み合わせて、応用するのに十分な大きさの「シュレディンガーの猫」のスクィーズ状態を生成するプロトコルが開発された。 2007年8月16日号の Nature ハイライト 地球:断層をすべりやすくする滑石 医学:癌と老化 宇宙:ミラのイメージ 物理:大きく育ったシュレディンガーの猫 材料:単成分金属ガラスを調べる 気候:オゾンと地球温暖化 医学:Lkb1と癌の因果関係 生化学:抗生物質の新しい生産ライン 生態:分散の種子をまくのは雌 目次へ戻る