Nature ハイライト 医学:癌と老化 2007年8月16日 Nature 448, 7155 癌細胞の示す特異な不死性と、我々生物の死の一因となる老化の過程とは、正反対のようにみえるかもしれない。しかし意外にも、癌細胞と老化の根底にある生物学的基盤が1つに収束した。癌と老化のどちらについての論文でも、ゲノムの不安定性、テロメアの機能、オートファジーは重要な役割を果たしている。腫瘍の発生と細胞の老化とのつながりが浮かび上がってきたのだ。そして、この両方で重要なのは、ミトコンドリア代謝である。Finkelたちは、ヒトの癌細胞(HeLa細胞)を培養すると分裂し続けるようになることが最初に発見されてから、システム生物学的手法の黎明期に至るまでの、癌と老化の両方にかかわる生物学的研究の歴史を概説している。 2007年8月16日号の Nature ハイライト 地球:断層をすべりやすくする滑石 医学:癌と老化 宇宙:ミラのイメージ 物理:大きく育ったシュレディンガーの猫 材料:単成分金属ガラスを調べる 気候:オゾンと地球温暖化 医学:Lkb1と癌の因果関係 生化学:抗生物質の新しい生産ライン 生態:分散の種子をまくのは雌 目次へ戻る