Nature ハイライト 環境:海の二酸化炭素 2007年11月22日 Nature 450, 7169 産業革命前の時代以降に化石燃料から放出された二酸化炭素(CO2)のほぼ半分は海によって吸収され、その結果、海をかなり酸性化し、炭酸塩の飽和を引き起こしてきた。最近の一連の報告では、人間によるCO2放出が野放しにされ続けると、将来は海水の酸性化が深刻な状況になるとする怖い見通しが立てられている。これまでの研究は、海洋の個々の生物種に対する酸性化の影響を主として扱ってきた。今回、ノルウェーのラウネ・フィヨルドにおける環境スケールのメソコスム実験系を用いた研究で、自然群集生態系でのCO2吸収の影響が概算された。その結果が示すところによると、CO2の分圧が増大するにつれて海生植物プランクトンによるCO2消費量は著しく増加するのに、栄養分の取り込み量は変わらない。海洋全体にあてはめることが可能であれば、このフィードバックは、大気のCO2濃度に対する重大な制約要因の1つとなるかもしれない。 2007年11月22日号の Nature ハイライト 宇宙:大気の主要成分が炭素の白色矮星 心理:赤ちゃんにも人を見る目がある 生理:抗うつ薬で寿命が延びる 嗅覚:におわなければ怖くない 物性:フェルミ面にできたポケット 環境:茶色の水 環境:海の二酸化炭素 微生物:シロアリが木材を消化する仕組み 細胞:光を熱に変えて身を守る 目次へ戻る