Nature ハイライト 嗅覚:におわなければ怖くない 2007年11月22日 Nature 450, 7169 怖いもの知らずのマウスが作り出された。もう少し正確に言うと、嫌なにおいに対する忌避行動という、本来なら腐敗した食べ物や天敵から身を守るための先天的行動反応を示さないマウスである。このマウスでは、嗅上皮という鼻孔内にあってにおいを感知する上皮組織の一部の嗅覚ニューロンが、ジフテリア毒素遺伝子をそこだけで発現させることによって破壊されている。このマウスは、先天的な忌避行動は示さないものの、嫌なにおいを検知する能力はもっており、忌避するように学習させることもできる。これらの結果は、免疫系同様にマウスの嗅覚系にも遺伝的にプログラムされた「生まれつき組み込まれた」神経回路があって、これとは別に適応的な回路が後に獲得され、先天的な回路に接続されることを示している。 2007年11月22日号の Nature ハイライト 宇宙:大気の主要成分が炭素の白色矮星 心理:赤ちゃんにも人を見る目がある 生理:抗うつ薬で寿命が延びる 嗅覚:におわなければ怖くない 物性:フェルミ面にできたポケット 環境:茶色の水 環境:海の二酸化炭素 微生物:シロアリが木材を消化する仕組み 細胞:光を熱に変えて身を守る 目次へ戻る