Nature ハイライト 物性:フェルミ面にできたポケット 2007年11月22日 Nature 450, 7169 最近の論文(Nature 447, 565-568; 2007)で、常伝導金属状態にある正孔ドープ高温銅酸化物超伝導体の電子構造の詳細が明らかになった。アンダードープ材料で観察されたフェルミ面は、小さなポケットから構成されていて、オーバードープのものと異なっており、従来型金属とも全く違うものであることが見いだされた。今回D LeBoeufたちは、ホール効果の測定結果を用いて、フェルミ面のこうした構造が、予想されたような「ホール(正孔)」ポケットではなく、電子ポケットであることを示している。このポケット形成は、一部の電子ドープ銅酸化物にみられるものに類似した、対称性の破れた不可解な相に起因する可能性がある。問題の相は、銅酸化物に一般的な性質らしいので、高温超伝導体の特性を作り出すのに中心的役割を果たしている可能性がある。 2007年11月22日号の Nature ハイライト 宇宙:大気の主要成分が炭素の白色矮星 心理:赤ちゃんにも人を見る目がある 生理:抗うつ薬で寿命が延びる 嗅覚:におわなければ怖くない 物性:フェルミ面にできたポケット 環境:茶色の水 環境:海の二酸化炭素 微生物:シロアリが木材を消化する仕組み 細胞:光を熱に変えて身を守る 目次へ戻る