Nature ハイライト

物性:フェルミ面にできたポケット

Nature 450, 7169

最近の論文(Nature 447, 565-568; 2007)で、常伝導金属状態にある正孔ドープ高温銅酸化物超伝導体の電子構造の詳細が明らかになった。アンダードープ材料で観察されたフェルミ面は、小さなポケットから構成されていて、オーバードープのものと異なっており、従来型金属とも全く違うものであることが見いだされた。今回D LeBoeufたちは、ホール効果の測定結果を用いて、フェルミ面のこうした構造が、予想されたような「ホール(正孔)」ポケットではなく、電子ポケットであることを示している。このポケット形成は、一部の電子ドープ銅酸化物にみられるものに類似した、対称性の破れた不可解な相に起因する可能性がある。問題の相は、銅酸化物に一般的な性質らしいので、高温超伝導体の特性を作り出すのに中心的役割を果たしている可能性がある。

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