Nature ハイライト

気象:熱帯低気圧のリモートコントロール

Nature 450, 7172

地球温暖化に対して熱帯低気圧活動がどのような応答を示すのかはよくわかっていない。海面水温が上昇するほど、熱帯低気圧は発生しやすく強まりやすいと考えられることが多いが、他にも多くの要因が関連しているので、必ずしもそうとは言い切れない。G VecchiとB Sodenは、海面水温の変化と、「熱帯低気圧の最大可能強度」と呼ばれる熱帯低気圧の強さの上限を示す尺度の間にどのような関係があるか調べた。その結果、最大可能強度の変化は、局所的な海面水温ではなく、温暖化の地域的な構造と密接に関係していることがわかった。すなわち、熱帯地方の平均よりも暖かい地域では最大可能強度が上昇し、寒い地域では低下するという特徴がみられる。このことは、局所的な海面水温の変化を含むことの多い自然の気候変動に応じて起こる熱帯低気圧活動の変化は、温室効果ガスによって引き起こされる、より地域差の少ない温暖化のパターンに応じた変化よりも、(局所的な海面水温変化の単位温度当たりにすると)大きい可能性があることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度