Nature ハイライト

Cover Story:イオンポンプ:膜を挟んだ濃度勾配を作り出す

Nature 450, 7172

P型ATPアーゼは、すべての真核生物と多くの原核生物にとって基本的に重要なカチオンポンプである。今週号には、このスーパーファミリーの重要メンバーの構造と機能についての3つの研究が掲載されている。表紙は、Morthたちが報告したNa+,K+ポンプの分解能3.5 Åでの構造である。一緒に掲載されているのは、J C Skouが50年前にこのポンプがNa+とK+に依存するATPアーゼ活性を示すことを発見したときの実験ノートである。Morthたちの論文はカリウム結合状態を明らかにしており、Skouと似た速度論的実験の結果も踏まえて、調節が電圧依存的に行われていることを示唆している。Olesenたちは、筋小胞体Ca2+-ATPアーゼ、すなわちカルシウムポンプの結晶学的スナップショットを得て、これを補完する機能研究と共に報告している。これにより、カルシウム輸送の完全な機構がついに示された。植物と菌類では、細胞のイオン恒常性と膜電位が、細胞膜H+-ATPアーゼという別のP型ATPアーゼによって駆動されている。Pedersenたちは、このポンプのX線構造を示し、このポンプが急な電気化学勾配に逆らってプロトンをくみ上げる仕組みについて考察している(Articles pp.1036, 1043, Letter p.1111, News & Views p.957, www.nature.com/podcast参照)。

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