Nature ハイライト 気候:秋の温暖化 2008年1月3日 Nature 451, 7174 北半球における大気中のCO2濃度と生態系のCO2フラックスの年々変動の解析から、秋期の温暖化に伴って、秋から冬にかけて起こる大気中のCO2の蓄積が早まっていたことが明らかになった。これは一見、常識に反するかのように思われる。秋が温暖ということは、植物の成長期間が長くなり、木や草がより多くのバイオマスを生産するため、陸上の炭素シンクが有益な影響を受けることを意味しているのは確かだ。衛星からの観測と数値モデルの結果からは、1つの説明が得られる。気温が高くなると呼吸が活発になって、光合成から得られる炭素量を相殺するようになり、これらの生態系が炭素シンクとして働く能力を制限するのだ。さらに、秋期の温暖化に起因するCO2の損失は、春期のCO2吸収量の大部分を相殺する可能性がある。今後の温暖化が、春期よりも秋期の方で早く起こるならば、北方の生態系が炭素を隔離する能力は、従来予測されていたよりも急速に減退するかもしれない。 2008年1月3日号の Nature ハイライト 生理:昆虫の浮気を防止する受容体 宇宙:ついに見つかった若い太陽系外惑星 材料:ナノクラスター構造体 気候:秋の温暖化 気候:上に行くほど暖かい 地球:誘発地震が遅れて起こる理由 医学:ダウン症候群が癌予防の道標に 細胞:NUMBの抗癌作用 工学:さらによいバイオ燃料を求めて 目次へ戻る