Nature ハイライト 化学:切れてもくっつくゴム 2008年2月21日 Nature 451, 7181 ゴムバンドは切れてしまったら、それでおしまい。もう1本用意しなくてはいけない。ところが、今週号に報告されている画期的な新材料は、ずいぶん異なる性質を示す。多重水素結合を形成する3種の官能基をもつ分子の会合により、鎖状部と架橋部の両方をもつ「超分子ゴム」が形成される。この超分子ゴムは、ゴム特有の性質、つまり元の長さの数倍に引き伸ばされても回復可能な伸長性を示す。だがこの系は、巨大分子からなる従来のゴムとは異なり、破断されたり切断されたりしても、室温で破断面どうしを合わせると自己修復が可能なのだ。この新材料は、脂肪酸と尿素という簡単な原料から合成でき、合成後は容易に再処理・再加工される。今回作られた超分子ゴムは、ひずみ回復が遅く、応力を受け続けると「変形(クリープ)」するが、出発原料を調節することによってさまざまな特性が実現できる。 2008年2月21日号の Nature ハイライト 化学:切れてもくっつくゴム 遺伝:ヒトの移動を物語る遺伝子 細胞:由緒ある細胞小器官 医学:インスリン抵抗性とO-GlcNAcの役割 宇宙:太陽系外惑星で見つかった高速の水素 進化:飛翔の進化を見直す 医学:次の新興感染症はどこで? 脳:神経幹細胞と学習 目次へ戻る