Nature ハイライト 医学:インスリン抵抗性とO-GlcNAcの役割 2008年2月21日 Nature 451, 7181 核および細胞質のタンパク質のO結合型β-N-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)による修飾は、多くの細胞過程で重要な調節因子として働いていることが明らかになりつつある。予測されている役割の1つが栄養センサーとしての働きで、これはヘキソサミン生合成経路を介するグルコース取り込みに関連している。今回、グルコース取り込みに対する応答におけるO-GlcNAcの役割が調べられ、O-GlcNAcトランスフェラーゼ(OGT)上に新しいタイプの脂質結合部位があることがわかった。インスリン刺激により、脂質であるホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸がOGTに結合し、これを細胞質膜に移動させる。次いで、OGTはインスリンシグナル伝達経路のタンパク質の糖修飾を行ってその活性を妨げ、インスリン応答を低下させる。マウス肝臓でOGTを過剰発現させると、インスリン抵抗性と脂質異常症が生じる。このように、インスリンシグナル伝達のO-GlcNAcによる異常な修飾は、インスリン抵抗性、肥満および2型糖尿病の一因となる可能性がある。 2008年2月21日号の Nature ハイライト 化学:切れてもくっつくゴム 遺伝:ヒトの移動を物語る遺伝子 細胞:由緒ある細胞小器官 医学:インスリン抵抗性とO-GlcNAcの役割 宇宙:太陽系外惑星で見つかった高速の水素 進化:飛翔の進化を見直す 医学:次の新興感染症はどこで? 脳:神経幹細胞と学習 目次へ戻る