Nature ハイライト 細胞:由緒ある細胞小器官 2008年2月21日 Nature 451, 7181 アピコンプレクサは動物に寄生する原生動物類で、マラリアやトキソプラズマ症などのヒト病原体が含まれる。そのほとんどが葉緑体の名残で色素のない「アピコプラスト」をもっており、この寄生虫の生存にはこれが不可欠である。光合成遺伝子は細胞小器官の進化の過程で失われたと考えられているが、「光合成を行うアピコンプレクサ」の子孫で光合成色素を含む色素体をもつものは知られていなかった。このほどシドニー港のイシサンゴから単離された生物は、こうした要件をほぼ満たしている。この藻類はサンゴと共に生息しているが、自由生活性生物として培養可能で、系統学的にはアピコンプレクサに近縁である。その葉緑体は遺伝学的に目新しい性質を備えており、光合成関連遺伝子の存在に加えて、トリプトファンがUGAコドンによってコードされている。UGAコドンの使用はアピコプラストの特徴である。 2008年2月21日号の Nature ハイライト 化学:切れてもくっつくゴム 遺伝:ヒトの移動を物語る遺伝子 細胞:由緒ある細胞小器官 医学:インスリン抵抗性とO-GlcNAcの役割 宇宙:太陽系外惑星で見つかった高速の水素 進化:飛翔の進化を見直す 医学:次の新興感染症はどこで? 脳:神経幹細胞と学習 目次へ戻る