Nature ハイライト 進化:飛翔の進化を見直す 2008年2月21日 Nature 451, 7181 化石鳥類や現生鳥類の研究により鳥類の飛翔の起源を解明しようとする試みから、2つの仮説が生まれた。初期鳥類は地上から飛び上がったと考える説と、飛翔は樹や崖から飛び降りることから始まったとする説である。鳥の翼の動きは鳥がそのとき何をしているかによって大きく変わるので、飛翔している鳥類の観察はこれまであまり役に立ってこなかった。今回Dialたちは、イワシャコ(ウズラに似た地上性鳥類)の動きを撮影することで、飛翔の起源に関する混乱は見方の違いに起因することを明らかにしている。脊柱の線を基準座標系とすれば、翼は特定の行動に従って運動しているようにみえる。しかし、翼が地面(重力)となす角度の方を考察すると、この角度は、体部が何をしているかに関係なく狭い範囲に限られることがわかった。したがって飛翔運動は、特定の角度での羽ばたきを学習するという問題であって、原始鳥類が地上から飛び上がったのか、高いところから飛び降りたのかとは関係ないということになる。 2008年2月21日号の Nature ハイライト 化学:切れてもくっつくゴム 遺伝:ヒトの移動を物語る遺伝子 細胞:由緒ある細胞小器官 医学:インスリン抵抗性とO-GlcNAcの役割 宇宙:太陽系外惑星で見つかった高速の水素 進化:飛翔の進化を見直す 医学:次の新興感染症はどこで? 脳:神経幹細胞と学習 目次へ戻る