Nature ハイライト 視覚:上を見るためのニューロン 2008年3月27日 Nature 452, 7186 目の網膜などにある神経回路は、どのようなものでもその機能は内部の神経結合状態に直接関連しており、いろいろな構成ニューロンの機能とその結合相手の選択によって決まっている。その特性は、個々のニューロンの遺伝子構成と分子間相互作用に支配されているが、遺伝子レベルから細胞の構造、回路の機能までの関連を一貫して明らかにすることは難しかった。I-J Kimたちは、この問題解決のために複数分野にまたがる新しい手法を開発し、網膜神経節細胞で実験を行った。そして、遺伝子マーカーを使って新しいタイプの網膜ニューロンを特定し、これが独自の細胞形態と変わった機能をもつことを見いだした。このタイプのニューロンは、すべて同じ向きに配置されており、また、その細胞構造から生物物理学的に予測される方向、すなわち視野の上方に向かって動く物体に、最もよく応答するという特筆すべき性質をもつ。この発見からは、マウスはなぜ上向きの動きに対する感度の向上にこんなに力を注ぐのかという興味深い問題が浮かび上がってくる。 2008年3月27日号の Nature ハイライト 視覚:上を見るためのニューロン 物理:電子スピンを制御する 医学:肥満が複雑になってきた 生理:幹細胞放出は概日リズムにのって 化学:マンニッヒ反応を充実させる 古気候:海洋における段階的酸素化 神経:匂いの感じ方の性差 植物:気孔のイオンチャネル 目次へ戻る