Nature ハイライト 物理:電子スピンを制御する 2008年3月27日 Nature 452, 7186 炭素系材料は、それらの電子スピンが例外的に安定と考えられるため、スピントロニクスやスピンキュービットなどの応用に有望な候補材料と見なされている。特に、電子スピンと軌道運動との結合の効果は、スピンデコヒーレンスの源になるが、こういった材料では無視できると考えられていた。しかしKuemmethたちは今週号で、この考えが誤りであることを証明している。彼らは、高品質の清浄な単層カーボンナノチューブで行った一連の詳細な電子輸送測定の結果に基づき、電子スピン-軌道結合を直接示す特徴を観測した。この知見は、ナノチューブでキュービットを実現する新しい設計原理につながるかもしれない。また、観測されたスピン-軌道結合は、カーボンナノチューブでスピンを全電気的に制御するメカニズムとして貴重な手段になるだろう。 2008年3月27日号の Nature ハイライト 視覚:上を見るためのニューロン 物理:電子スピンを制御する 医学:肥満が複雑になってきた 生理:幹細胞放出は概日リズムにのって 化学:マンニッヒ反応を充実させる 古気候:海洋における段階的酸素化 神経:匂いの感じ方の性差 植物:気孔のイオンチャネル 目次へ戻る