Nature ハイライト

物理:電子スピンを制御する

Nature 452, 7186

炭素系材料は、それらの電子スピンが例外的に安定と考えられるため、スピントロニクスやスピンキュービットなどの応用に有望な候補材料と見なされている。特に、電子スピンと軌道運動との結合の効果は、スピンデコヒーレンスの源になるが、こういった材料では無視できると考えられていた。しかしKuemmethたちは今週号で、この考えが誤りであることを証明している。彼らは、高品質の清浄な単層カーボンナノチューブで行った一連の詳細な電子輸送測定の結果に基づき、電子スピン-軌道結合を直接示す特徴を観測した。この知見は、ナノチューブでキュービットを実現する新しい設計原理につながるかもしれない。また、観測されたスピン-軌道結合は、カーボンナノチューブでスピンを全電気的に制御するメカニズムとして貴重な手段になるだろう。

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