Nature ハイライト 神経:匂いの感じ方の性差 2008年3月27日 Nature 452, 7186 動物の行動には大きな性差があるにもかかわらず、どの動物種でも雌雄の脳にはわずかな解剖学的差異しかみられないのは意外である。今回、ショウジョウバエ(Drosophila)を使った研究で、昆虫フェロモンであるcVA(cis-vaccenyl acetate)への応答に明確な性差が見いだされた。このフェロモンは雄から放出され、雌雄ともに触角にある、一見、全く同じ神経回路を介して感知される。この匂いは、雌に対しては雄の受け入れを促すように働くが、競争相手となる雄に対しては求愛行動を抑制するように働く。この研究のために開発された単一ニューロン追跡技術は、マウスのような遺伝学的に追跡可能な動物種の神経系研究にも応用できそうだ。 2008年3月27日号の Nature ハイライト 視覚:上を見るためのニューロン 物理:電子スピンを制御する 医学:肥満が複雑になってきた 生理:幹細胞放出は概日リズムにのって 化学:マンニッヒ反応を充実させる 古気候:海洋における段階的酸素化 神経:匂いの感じ方の性差 植物:気孔のイオンチャネル 目次へ戻る