Nature ハイライト 細胞:マイトソームはいったい何をしている? 2008年4月3日 Nature 452, 7187 微胞子虫は、ヒトなどの真核生物に寄生する、高度に特殊化した細胞内絶対寄生体である。微胞子虫は長い間、真核生物の初期段階の遺物、つまりミトコンドリアを獲得する前の真核生物と考えられてきた。しかし最近の研究によって、マイトソームとよばれる微小なミトコンドリアの痕跡器官を含むことが見いだされ、話が複雑になっている。マイトソームの機能については異論が多いが、微胞子虫のゲノムには、ミトコンドリアの鉄硫黄クラスター装置の成分がいくつかコードされていることがわかっている。Golbergたちは今回、2種類の微胞子虫について数種類のFe-Sクラスター成分をクローン化し、その性質と細胞内での局在場所を明らかにした。これらの成分の一部はマイトソームに局在するが、他は細胞質に存在しており、これらの機能をどのようにして協調させているのかは疑問である。今回のデータは、マイトソームの重要な役割の1つが、細胞の生存に不可欠なNar1やRli1などの細胞質Fe-Sタンパク質の生合成にかかわるものだという考えを裏付けている。 2008年4月3日号の Nature ハイライト 物理:超絶縁体の出現 医学:煙の立つところに… 細胞:siRNAによる血管新生抑制 細胞:真菌の薬剤耐性 宇宙:太陽系外に地球を見つけ出す 気候:塵と気候の関係 細胞:マイトソームはいったい何をしている? 視覚:奥行きを片方の眼だけで判断する仕組み 目次へ戻る