Nature ハイライト 心理:報酬について考える 2008年7月17日 Nature 454, 7202 ヒトや他の動物では、ある報酬を確実に連想させる手がかり刺激が与えられると、その報酬が通常引き起こすような思考や感情が生まれる。こうした「条件性強化刺激」は、身近な会社のロゴから薬物に関連する手がかりまで、さまざまである。しかし、これらがどのように働くのか、その機構はまだよくわかっていない。Burkeたちは、特定の結果を生み出す手がかりと、一般的な刺激-情動表現を生み出す手がかりとを区別するような実験で、ラットの条件性強化について分析を行った。ラットはどちらの手がかりにも応答し、特定の結果を生み出す手がかりを用いた条件強化には、適応的な意思決定に重要とされる脳の一部、すなわち眼窩前頭皮質が重要だが、より一般的な幸福感を引き起こすような手がかりでの条件性強化にはこれが重要でないことがわかった。この2種類の手がかりへの応答にみられる不均衡は、薬物依存や摂食障害といった、手がかりへの応答が望ましい結果と反対のものになりかねない神経精神障害に特徴的である。この研究は、こうした不均衡も治療によって克服できる可能性を示唆している。 2008年7月17日号の Nature ハイライト 細胞:細胞周期では正のフィードバックが歩調を合わせている 細胞:姉妹染色分体を一緒にする 宇宙:強い銀河磁場の起源を探る 宇宙:火星表面の水 地球:マグマが引き金 生態:樹木が窒素固定を行う条件 発生:椎骨の数が決まる仕組み 心理:報酬について考える 生理:初期のタンパク質合成 目次へ戻る