Nature ハイライト 量子情報科学:移動する記憶 2008年10月23日 Nature 455, 7216 量子計算にとって、情報を処理するものと記憶するものの間の情報転送は重要だが、これは厄介な問題でもある。古典系では、情報転送には複写段階があり、この段階で誤りを見いだし補正できるが、量子系では複写は基本的に不可能である。Mortonたちは、この問題を解決する可能性がある技術、すなわち電子スピンを処理する素子と核スピンを使った記憶素子との間の情報のコヒーレントな蓄積と読み出しという系を実証した。この系は28Si結晶中の31Pスピンドナーを使う。核スピンは記憶素子として作用し、電子スピンの全状態を1秒以上にわたって忠実に蓄積し、それから、これを約90%の効率で電子スピンへ戻すことができる。 2008年10月23日号の Nature ハイライト 腫瘍:がんの大規模ゲノミクス研究 宇宙:銀河の形成はもっと単純 進化:リボンのような謎の尾羽 量子情報科学:移動する記憶 化学:遷移金属で触媒酸化 進化:光合成の始まりはもっと遅かった 医学:糖尿病に立ち向かう微生物 医学:関門を突破する 植物:被子植物の受精の仕組み 目次へ戻る