Nature ハイライト 医学:糖尿病に立ち向かう微生物 2008年10月23日 Nature 455, 7216 1型糖尿病の動物モデルであるNOD(非肥満糖尿病)マウスでは、自己免疫性糖尿病の発症率が飼育環境によって変化する。特に、マイコバクテリウムの死骸や他の微生物製品に曝露したNODマウスでは糖尿病の進行が遅くなり、このことから、急速な自然免疫応答が糖尿病に関与していると考えられる。今回、Toll様受容体シグナルアダプタータンパク質MyD88を欠くために自然免疫に欠陥があるNODマウスを用いた実験で、自然免疫と腸内微生物叢が共に糖尿病の発症しやすさ、つまり素因に影響を与えることが示された。無菌のMyD88欠損マウスは強い糖尿病を発症したが、正常なヒトの腸の場合と同じような腸内細菌群を与えられたマウスでは、糖尿病は減少した。この結果から、生きた「友好的な」微生物、あるいは微生物製品が、1型糖尿病に対する治療の選択肢となることが予想される。 2008年10月23日号の Nature ハイライト 腫瘍:がんの大規模ゲノミクス研究 宇宙:銀河の形成はもっと単純 進化:リボンのような謎の尾羽 量子情報科学:移動する記憶 化学:遷移金属で触媒酸化 進化:光合成の始まりはもっと遅かった 医学:糖尿病に立ち向かう微生物 医学:関門を突破する 植物:被子植物の受精の仕組み 目次へ戻る