Nature ハイライト

医学:糖尿病に立ち向かう微生物

Nature 455, 7216

1型糖尿病の動物モデルであるNOD(非肥満糖尿病)マウスでは、自己免疫性糖尿病の発症率が飼育環境によって変化する。特に、マイコバクテリウムの死骸や他の微生物製品に曝露したNODマウスでは糖尿病の進行が遅くなり、このことから、急速な自然免疫応答が糖尿病に関与していると考えられる。今回、Toll様受容体シグナルアダプタータンパク質MyD88を欠くために自然免疫に欠陥があるNODマウスを用いた実験で、自然免疫と腸内微生物叢が共に糖尿病の発症しやすさ、つまり素因に影響を与えることが示された。無菌のMyD88欠損マウスは強い糖尿病を発症したが、正常なヒトの腸の場合と同じような腸内細菌群を与えられたマウスでは、糖尿病は減少した。この結果から、生きた「友好的な」微生物、あるいは微生物製品が、1型糖尿病に対する治療の選択肢となることが予想される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度