Nature ハイライト 遺伝:1つの遺伝子から多数のタンパク質へ 2008年11月27日 Nature 456, 7221 ヒトゲノムが解読された際に遺伝子の数が予想より少なかったことがきっかけで、選択的スプライシングへの関心が再び高まった。選択的スプライシングとは、遺伝子1個から複数のタンパク質が作られる仕組みの1つである。Licatalosiたちは、生体組織でのRNA-タンパク質結合の相互作用の特性をゲノム規模で偏りなく調べる方法を開発し、哺乳動物の脳でその有効性を実証した。これによって、神経の選択的スプライシング制御因子Novaの結合部位の特性が明らかになり、さらに、この因子に選択的ポリアデニル化を制御するという思いがけない機能もあるらしいことがわかった。もう1つの研究では、WangたちがmRNAにディープシーケンシング法を用いて、ヒトのさまざまな組織とがんでの選択的スプライシングについて調べた。読み取った塩基配列をスプライシング接合部位にマッピングすることで、複数のエキソンをもつヒト遺伝子では、選択的スプライシングが本来的に広く共通して行われていることが明らかになった。また、選択的スプライシングが機構的にmRNAのポリアデニル化と結びついていることもわかった。 2008年11月27日号の Nature ハイライト 植物:ジベレリンの結合部位 遺伝:1つの遺伝子から多数のタンパク質へ 宇宙:星の光に浮かび上がるエンセラダス 工学:集積回路で光圧を利用する 化学:原子を節約する 進化:原始のカメはどのように甲羅を発達させたか 細胞:筋の幹細胞 免疫:ILFの維持 生態:筋肉疲労のシグナル伝達 目次へ戻る