Nature ハイライト 生態:筋肉疲労のシグナル伝達 2008年11月27日 Nature 456, 7221 デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの多くの神経筋疾患には、運動誘発性疲労応答の激化がみられる。マウスを用いた実験で、この疲労の原因と思われるものが明らかとなった。神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)は本来、筋細胞を包む膜である筋繊維鞘中に存在するが、これがないと筋肉に栄養を補給する血管が正常に弛緩せず、動物は運動後に疲労を経験するようになる。さまざまな筋疾患の患者から採取した多数の生検標本で筋繊維鞘中のnNOSが減少していることがわかり、これが疲労の共通の原因であることが示唆された。これらの結果は、軽度の運動に対して激しい疲労応答を示す患者では、運動誘発性シグナル伝達を改善する治療が有効である可能性を示唆している。 2008年11月27日号の Nature ハイライト 植物:ジベレリンの結合部位 遺伝:1つの遺伝子から多数のタンパク質へ 宇宙:星の光に浮かび上がるエンセラダス 工学:集積回路で光圧を利用する 化学:原子を節約する 進化:原始のカメはどのように甲羅を発達させたか 細胞:筋の幹細胞 免疫:ILFの維持 生態:筋肉疲労のシグナル伝達 目次へ戻る