Nature ハイライト 化学:原子を節約する 2008年11月27日 Nature 456, 7221 有機合成で理想的な過程は、複雑な分子を最小限のステップ数で合成することである。また、反応物中に存在する原子のほとんどが最終的に生成物に取り込まれるようにして無駄遣いを制限するアトムエコノミーも重要である。B TrostとG Dongは、天然化合物ブリオスタチン16を従来の方法の約半分のステップしか必要としない方法で合成し、これらの原則を効果的に実証してみせた。鍵となる反応は、2個のアルキン(炭素-炭素三重結合を含む炭化水素)から大きな環を形成するパラジウム触媒反応である。ブリオスタチンは、当初サンゴ様の海洋生物から単離されたマクロライド系ラクトン類であり、細胞毒性をはじめとする一連の生物活性を示し、抗がん療法や記憶力増強治療に使える可能性がある。 2008年11月27日号の Nature ハイライト 植物:ジベレリンの結合部位 遺伝:1つの遺伝子から多数のタンパク質へ 宇宙:星の光に浮かび上がるエンセラダス 工学:集積回路で光圧を利用する 化学:原子を節約する 進化:原始のカメはどのように甲羅を発達させたか 細胞:筋の幹細胞 免疫:ILFの維持 生態:筋肉疲労のシグナル伝達 目次へ戻る